Brocade SilkWorm Multiprotocol Router を使ってみよう
中級編(前編)
FCR の言葉
FCR の概念
Multiprotocol Router 特有なコマンド群
中級編
FCR の言葉
ここで Multiprotocol Router の言葉を説明するけど長いので注意。
MPR Multiprotocol Router のこと
MSRS Multiprotocol SAN Routing Service の略。FC-FC ルーティングサー
ビス、FC-IP ゲートウェイサービス、iSCSI-FC ゲートウェイサービ
スの総称
FCR FC Routerのこと。FC Routing サービスを提供している MPR のこと
FC-NAT FC Network Address Translation のこと。FCR は互いのファブリック
全体を仮想的な単一のスイッチ(xlate Domain)に写像するのだが、そ
の技術のこと
Meta SAN ルータで結合されたファブリック全体のこと
Edge Fabric デバイスが結合している SAN のこと。ここではルータで共有したい
デバイスの接続された SAN のことをいっている
Fabric ID 各 Edge Fabric を区別するための ID。勝手なイメージで書くと、
MPLS でいうところのラベル、もしくはタグみたいなもん。もちろん
ここのスイッチの ID ではない
IFL Inter-Fabric Link のこと。各 Edge Fabric と FCR を接続するリン
クのこと
Backbone Fabric FCR のポートを拡張するために構成するファブリック。Meta SAN ご
とに Backbone Fabric はひとつ存在する。
LSAN Logical Private SAN のこと。各ファブリックをまたいで構成する
ことが可能な仮想的なSAN。はっきりいってただのゾーニング
LSAN Zoning LSAN を構成するときに設定するゾーニングのこと。普通のゾーンと
の違いは、単にゾーンの名前が "LSAN_" もしくは "lsan_" で始ま
るというだけのこと
EX_Port FCR と Edge Fabric のスイッチを結合するときの FCR 側のポート。
Edge Fabric 側からは通常の E_Port に見える。ちなみに Edge Fabric
側のスイッチのポートは当然 E_Port
NR_Port EX_Port(ただし、Front Domain) の Backbone Fabric 側への写像。
しかし、Backbone Fabric からは特に見えない。FCR を冗長化したと
きに、FCR 間でステータス交換を行うために使用する(LSAN_Zone, FID
などいろいろあるでしょ)
Front Domain Edge Fabric が FCR に接続するとき、Edge Fabric からみると FCR
のポートは E_Port(つまり普通のスイッチ)にみえるわけだが、その
時に見える仮想スイッチのドメインナンバのこと
xlate Domain FC-NAT により射影された、共有対象デバイスの接続されているファ
ブリックを仮想化したスイッチ。要はファブリック A からファブリッ
ク B(ファブリックBにいくつドメインがあってもよい) のデバイス
を共有するときに、ファブリックBを仮想的に1つのスイッチと見立
てたもの。Translate Domain ともいう
Proxy Device LSAN Zoning を構成したデバイスは、互いに xlate Domain に接続
された仮想デバイスとして見えることになる。このときのデバイス
を Proxy Device という。Web でいうところの Proxy Server と同
じことですな
FCRP FC Router Protocol の略。FSPF が同一ファブリック内のスイッチ
間での最短経路を決定するのに対し、FCRP は、Backbone Fabric
で接続されたファブリック間に複数の FCR が存在する場合に、xlate
Domain を適切にリモートファブリックに通知するように経路を決
定するプロトコルである
VE_Port IP 系プロトコルを利用するときのポートのこと
XPath OS Multiprotocol Router の動作している OS のこと。従来の製品で
使用していた Fabric OS とはコマンドが非常に似ている。ちなみに
Fabric OS 4.x が Linux ベースなのに対し、XPath OS は NetBSD
ベースだ。仮想化アプリケーションは、この XPath OS の上に SAS
(Storage Application Services)が載り、アプリケーションとのイ
ンタフェースになっている
<用語解説の絵>
FCR の概念
FCR は先でも書いた FC-NAT をベースにしたルーティング技術なり。フレームの構成
はこんな感じ:
<フレームの絵>
Backbone Fabric を使わないときは、単に、SID(Source ID:フレームの送信元)と DID
(Destination ID:フレームの送信先)を MPR が書き換えているだけに過ぎないのだ。
書き換えた後の SID が xlate Domain になり、DID が共有先のデバイスのデバイス
Proxy Device になるというわけだ。フレームのペイロードには手をつけないのでデ
バイスからみるとルータは透過になる。
Backbone Fabirc を利用するときは、カプセル化するだけである。つまり、Backbone
Fabric 側でトラフィックを見ると通常のファイバチャネルフレームが流れているだ
けである。ただし、Inter-Fabric Address ヘッダーが付け加わるのが異なる。この
ヘッダーにより、Source FID, Destination FID の間情報が交換可能になる。要は
このプロトコルを利用して Inter-Fabric ルーティングを行っている。現状ではま
だ Brocade Proprietary である。
Backbone Fabric 中の FC-FS ヘッダの SID/DID はどうなっているでしょう?答え
は、リアルな SID/DID が入ります。何故かって?そりゃ企業秘密です。Ingres-Port
(流入ポートに入ったときに何かが変わり、Egres-Port から出るときに何かが変わ
るということです)
例えば、Front Domain が異なるが(もちろん異なる MPR という設定でもよい) xlate
Domain が同じ path が複数ある場合、これらの複数の path のうち、リンクコスト
が最小でかつ等価な path は選択される可能性があるが、これを制御しているのが
FCRP である。
あくまで例えだが、Ethernet/IP でいうところの STP/OSFP の違いと比較できるの
ではないだろうか。もちろん FSPF = STP, FCRP = OSFP みたいなイメージであるが。
あくまでレイヤの違いを表す例だけど。
Multiprotocol Router 特有なコマンド群
さて、この MPR 、上記でも書いたとおり、通常のスイッチではないので、従来の
SilkWorm FC Switch/Director からいくつかコマンドが増えています。下記にその
うち MPR に関連するものを書くよ(使用についてはマニュアルを参照のこと):
portCfgEXport MPR とスイッチを接続する EX_Port を設定する
lsanZoneShow LSAN_Zone の表示(MPR 上で)
fcrFabricShow Backbone Fabric 中にある MPR と各 Edge Fabric を表示
fcrRouteShow Backbone Fabric を介して通信するときのルートを表示
fcrResourceShow MPR のリソース使用状況を表示(スロット, LSAN_Zone 等)
fcrLogShow ?
fcrLogClear ?
fcrConfigure Backbone Fabric の FID を設定する
fcrPhyDevShow 全 Meta SAN 中の LSAN で共有されているデバイスの物理 PID を表示
fcrProxyConfig Proxy Device のスロットなどを指定するときに使用
(スロットは translate される port, AL_PA を指定するためのもの)
fcrProxyDevShow Proxy Device の情報を表示
fcrXlateConfig xlate(Translate) Domain の設定
portStop portDisable と似ているが、laser を off するところが違う
portStart portEnable と似ているが、laser を on するところが違う
portType 指定ポートを FC/GbE のどちらにするか設定
portCfgGige Ethernet に設定したポートで使用するプロトコルを設定
portCfgFcip FCIP トンネリングの設定
rnping 指定ポートから指定 IP に対して ICMP を投げる
fcipShow FCIP トンネリング設定の表示
serviceCfg iSCSI サービスの起動(少なくとも XPathOS7.1.2c にはある)
iscsiAuthCfg iSCSI Authentication Database の設定
iscsiFailoverAdd failover 対象スイッチのポートを WWN で指定
iscsiFailoverDelete 上記の設定を解除する
iscsiPortShow iSCSI ポートの統計情報を表示
iscsiShow iSCSI 設定情報の表示
iscsiWwnAlloc iSCSI IQN と WWN のマッピング設定