On Demand Datacenterを発表してから、日本では本社プレゼンをちょっとだけ変えて説明している。
Brocade On Demand Datacenter
変えているのは、Network Function だけではなく、Storage Function も独立させていることと物理レイヤをFabricで統合的に表現しているというところ。
以前から話をしている通り、Fabricはリソース(CPU/Memory/IO)とビジネスシステム(ビジネスロジック/ビジネスデータ)を結合する基盤だが、さらに、Platform Function という言い方を付け加えた。
Platform Function とはビジネスシステムに共通する機能性という位置づけだ。たとえば、ルーター、ロードバランサ、ファイヤーウォールなどのネットワーク機能やデータ暗号化、非冗長化、ファイルサービスなどのストレージ機能だ。これらを物理だけでなく仮想アプライアンスでも実現し、ダイナミックサービスインサーションで結合する。ここではこれを x Function Virtualization (xFV) としよう。
事業者視点でいえば、仮想マシンという形のビジネスロジック以上のインフラ機能性は、付加価値として使用してもらうことが可能になる。
プラットフォームの仮想化とプラットフォーム機能の仮想化の例はストレージで説明するのがよくわかる。
たとえば1TBのストレージ筐体(あくまで例)があったとして、10TBのボリュームが必要な場合、ボリューム仮想化が必要。かつての EMC In-Vista, Fujitsu VS900や IBM SVC などがこれを実現する。これが Storage Virtualization だ。下記ではストレージ以外も扱うので x Virtualization (xV)とでもしておこう。
CDP や Data@Rest 暗号化が必要な場合、FCファブリックに対し、RecoverPoint アプライアンスを接続したり、Encryption Switch を接続し、Frame Redirection を設定する(これらは自動的に行われる)ことで、Dynamic Service Insertion (NFV 的言葉だと Service Chaining)になる。
NFS/CIFS/SMBも同様にブロックストレージ基盤に対するNetwork File Serviceとして位置付けることができる。
理屈上は、複数のストレージ筐体から単一のボリュームを作って、各種ストレージサービスを実現するというのが Storage Infrastructure だ。
コンピュートエリアも同等。CPUコアとして 100コア使いたくてもそんなサーバは無い。1PBのメモリ空間を使いたくても同様。100枚のI/Oをさしたくてもさせない(各論でいえば、NUMA scale, ScaleMP, ExpEther, NextIOなどはある)。これらをSingle System Image で実現し、分散リソース管理、プロセススケジューリングを実現すれば、Compute Infrastructure になる。
#ぶっちゃけAmoebaとかPlan9みたいなもの
ネットワークも同じ。ネットワーク仮想化で複数のスイッチから仮想ネットワークを切り出す。この仮想ネットワークは自由にVLAN も切れるし、理想的には PB/PBB や MPLS なども通せるだろう。
機能的にはルータやSLB/FWなどの機能性やパケットカウント、認証などの機能が接続され、単一の Network Infrastructure として機能する。
結局のところ、Brocade On Demand DC, Software Defined DC などは、xV, xFV を統合的に扱うプラットフォームコントローラが前提となる。まぁ、さすがに Compute/Network/Storage のコントローラが統一されることは永遠にないだろう。しかし、オーケストレータはITプラットフォーム全体制御が必要なので、すべてのコントローラを制御することになるはずだ。
それぞれの機能性を Single System Image で実現することが要求され、オーケストレータのもとに Datacenter が Single System Image となる。On Demand DC の究極はこれだ。
自律分散か、集中かではなく、シングルシステムイメージかどうかの問題。
今のところ、ファブリックはただの媒介者であるが、将来はどうなるか。それこそイノベーション。楽しみだ。